北海道大学公共政策大学院 学生ブログ

北海道大学公共政策大学院(HOPS)の院生が運営するブログ

統一地方選2023

HOPSの入学ガイダンスが行われ、新たな顔ぶれと共に令和5年度がスタートしました。18期広報担当Kです!

読者の皆さんには、就活やらリサぺの準備やらで更新が滞っておりまして...すみません。

 

さて、公共政策大学院生にとって重要な時期がやってまいりました。そう、統一地方選挙です。北海道大学・HOPSのキャンパスは札幌市に位置しておりますが、札幌市長選挙や札幌市議会議員選挙のポスターや立て看板が、街を歩くと目に入るようになってきていますね。

 

そもそも統一地方選挙とは、衆議院参議院といった国政の議会ではなく、都道府県や市町村といった地方自治体における首長と議員を選ぶ選挙のことです。2023年4月9日(日)が投票日です。

 

国政とは、さまざまな制度が異なります。

国政は行政(執政)府の長官を議会多数派の政党が選出する議院内閣制ですが、一方、地方は行政府の長官を直接選挙で選ぶという点で、大統領制に近い制度と言えます。

また、議員選挙も衆議院小選挙区制、参議院小選挙区比例代表並制という制度が採用されていますが、地方議会議員選挙は中・大選挙区制度(厳密には複数定数選挙区)が採用されていますね。

 

さて、そんな今日、紹介する本はこちらの2冊

 

 

 

曽我謙悟(2019)『日本の地方政府』中公新書

辻陽(2019)『日本の地方議会』中公新書

 

HOPSは地方自治体での勤務経験がある学生が多く親睦を深めることもできますが、こうした書籍を通じた勉強をすると相乗効果が見込まれますね。

というわけで、みなさん選挙にいきましょう!(啓発)

 

 

選挙に関する記事はこちら↓

hokudai-hops.hatenablog.com

 

 

文責 18期広報K

 

 

 

HOPS1年生の授業時間割例

あけましておめでとうございます!

18期広報担当K・Nです。2023年もよろしくお願いいたします。

 

新春一本目の記事は、時間割紹介です。実際に私の時間割を紹介することで、HOPS1年生がどのようなスケジュールで、一年目を過ごしているかをイメージするきっかけになればと思います。

 

では早速、前期の時間割を紹介いたします。

 

 

1限

           

2限

     

現代ヨーロッパ

政治外交論

   

3限

 

国際公共

政策学

公共哲学

   

公共政策学

(変則)

4限

文理融合政策

事例研究

       

公共政策学

(変則)

5限

文理融合政策

事例研究

政策評価

     

公共政策学

(変則)

6限

 

国際政治の

計量分析I(聴講)

       

 

私の時間割は、前期このようなものでした。取得単位数は14単位です。

一つずつどのような授業か簡単に紹介します。

 

文理融合政策事例研究

・ 核のゴミ、JR北海道、沿岸開発、ブルーカーボン、学術交流、感染症対策など文理融合的な議題についてゲストスピーカーの講演を聴き、その内容に関し議論してレポートを提出する講義です。一人一回発表があり、また、毎週小レポートを提出する必要があり、楽ではありませんでしたが、HOPSの特徴的な授業の一つなのでおすすめです。

 

国際公共政策学

・ 国際関係論の基本を学びます。国際安全保障と国際政治経済の二つのパートに分かれており、国際問題を経験的に分析する視座を提供してくれます。中間レポートと最終レポートの二つが課され、それぞれかなり時間と労力をかけて書くことになりました。

 

政策評価

政策評価の基礎やあり方について学ぶ講義です。実際に課題を通じて自治体を一つ選び自ら政策評価を行う機会があります。中間レポートと最終レポートの二つが課されました。

 

国際政治の計量分析I

・ これは、一橋大学のオンライン講義を私が許可を得て聴講したもので、単位は出ません。政治学における計量分析の基礎と事例を学び、実際にプログラミングを行なって予習や課題に取り組みますので、とても良い経験でした。

 

公共哲学

・ 民主主義や自由主義といった政治理論の基礎を講義とディスカッションを通じて学ぶ講義で、解説がとても平易でおすすめです。毎週コメントペーパーを書くことと、最終レポートが課されました。

 

現代ヨーロッパ政治外交論

・ フランスの政治社会の歴史を新書の通読を通じて理解する講義でした。フランス一国にフォーカスしますが、欧州を考えるきっかけにもなりますし、議論や質疑応答が活発なので面白い講義でした。一人一回の発表と、最終レポートが課されます。

 

公共政策学

・ 公共政策の一般理論を学びます。観察・分析の手法を実際の事例を踏まえて実践するので、基礎基本が身につくと言えるでしょう。中間レポートと最終レポートが課されます。

 

私は前期、講義と課題レポートに加えて民間就活を行いながら、アルバイトを月平均40時間ほどしていました。毎金曜日の全休は、課題かアルバイトに費やしておりました。感想としては、本当にあっという間に4ヶ月が過ぎました。研究の時間は、なるべく取るようにはしていましたが、せいぜいテーマが絞られたくらいで、先行研究の読み込みなどはできませんでした。もし、研究に従事したければ研究大学院に進学することも選択の一つです。なお、民間就活を行う予定の方は自己分析とWEBテスト(SPIや玉手箱など)の勉強は入学前に終わらせておくと良いと思います。就職早期化の波は凄まじく、今後もその傾向が強まることが濃厚です(これも立派な政策課題だと感じますね...)。夏のインターンシップの選考はまさに期末レポートの準備に追われ始める6~7月で、その後の夏のインターンシップ参加は、就活を進める上でも非常に重要です。

 

少し脱線してしまいましたが、後期の時間割を紹介いたします。

 

 

1限

           

2限

 

現代政治分析

 

法政策学

   

3限

   

現代アメリ

政治外交論

中東欧

比較政治論

   

4限

 

技術政策学

       

5限

           

6限

 

政治過程論

       

 

現代政治分析

・ 欧州における挑戦者政党と誕生を分析した研究書(英語)を輪読します。一人2回、1章を要約して発表することが課され、内容について議論する講義です。英語慣れしていて、比較政治を学んだことがあればとても楽しい授業だと思います。

 

技術政策学

行政学、国際関係論、データ分析、工学などの専門的知見を踏まえながら、科学技術と公共政策について学ぶ講義です。HOPSの文理融合という理念を体現した授業と言えます。多くのコメントペーパーやレポートを書く必要があります。

 

政治過程論

・ いわゆる比較政治学の授業で、理論を中心に扱います。空井護(2020)『デモクラシーの整理法』岩波書店 を読んでおくと良い予習になります。期末試験一発勝負だそうです。

 

現代アメリカ政治外交論

アメリカ政治の主要トピックをディスカッション形式で学ぶ講義です。主体的な授業への参加が求められるため、アメリカ政治に関する知識のインプットのみならず、論理的なコメントや質問などアウトプットも重要であり、活発な授業となります。中間レポートとその修正版である最終レポートの提出、および一人一回発表が課されます。

 

法政策学

行政法の演習形式の講義です。法学部出身以外の方は苦労を強いられるかもしれませんが、法体系の涵養にはなると思います。一人2回、グループ形式での発表が課されます。

 

中東欧比較政治論

・ 北大のスラブ・ユーラシア研究センターの授業にお邪魔させていただいております。単位も取得予定です。中東欧(ポーランドチェコハンガリーが中心)における民主主義の後退に関する英語論文を逐語訳しながら議論する講義です。

余談ですが、HOPSは、年間履修単位の上限こそあれど他学院の授業も履修可能なので、関心を持った分野を色々齧ってみることも可能です。

 

 

後期の取得単位(予定)数は12単位です。月曜と金曜は全休です。アルバイトは、月平均40時間程度で就活も並行しており、課題の消化に追われて気づけば年が明けており、かなり忙しいです。リサーチペーパーの準備もしなければなりませんが、就職活動の本選考の時期も近づいています...

なお、私は社会調査法(前期)と政策討議演習(後期)というHOPSの名物授業を履修していないので、HOPS1年生の中では、稀有な時間割を組んでいるほうです。もちろん、学生一人一人のバックグラウンドが異なることと、多様な講義が用意されているので、誰一人として同じ時間割はないと思われます。ですが共通しているのは、1年目は単位取得でおそらく精一杯の日々になるであろうということです。しかし、やはり自分の分野に関する知見を深めることができるので、有意義な学生生活を過ごせます。

 

皆様の参考になれば幸いです。それでは今日はこの辺りで。Boys be ambitious!

兎年もよろしくお願いいたします。

 

文責:18期広報K・N

 

 

 

 

【本紹介】『戦争とは何か』

こんにちは!

お馴染みですが、18期広報のK・Nです。

 

季節は巡り、春HOPSに入学したかと思えば早立冬となりましたが、なおまだ北大構内の銀杏並木は綺麗ですので、ぜひみなさん一度ご覧ください。

筆者撮影:2022年11月1日

 

さて、黄金色に染まった木々を見ながら通学する平和な日々とは裏腹に、世界に目を向ければ、国家間の戦争や紛争により多くの人が犠牲になっているという現実があります。しかも、今年2022年2月24日に発生したロシアのウクライナ侵攻により、連日目を覆うようなニュースが流れてきます。

 

本日、紹介する本はこちら。

多湖淳(2020)『戦争とは何か - 国際政治学の挑戦』、中公新書

 

 

この本は、「戦争とは外交の失敗である」という認識のもとに論理が展開されます。

戦争を定量的にカウントするデータセットゲーム理論を駆使しており、経済学に近いアプローチが採用されている点が特徴的です。

 

ロシアのウクライナ侵攻によって、各国は安全保障のあり方を見直しております。

しかし、我々市民レベルで戦争や安全保障、あるいはそれを規定する政策や憲法について、どれほど理解を深めているでしょうか。どうすれば戦争のない社会を構築し、それを維持し続けることができるのでしょうか。

 

これらの命題について、考えるきっかけになれば幸いです。

なお、ここ北海道大学には安全保障をこの本と似たようなアプローチで研究している先生が二人ほどいらっしゃるので(本の謝辞でも紹介されております)、興味を持った方がいましたら、ぜひHOPSの門を叩いてみてください。

 

文責:18期広報K・N

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【本紹介】『女性のいない民主主義』

こんにちは、18期広報担当のK・Nです!

HOPSは、後期の授業が開講され研究棟にも賑やかさが戻ってまいりました!

 

本日の本紹介は、こちら!

前田健太郎(2019)『女性のいない民主主義』、岩波新書

です。

 

ニュースや新聞を通じて報道される日本の政治家達の中に、残念ながら女性は、そう多くありません。他方で、日本の政治は、民主主義体制であるとされていますが、そもそも民主主義とは「人民の支配」という意味を持っています。

 

ここで、いくつかの疑問が浮かんできます。

 

なぜ人口の約半分を占める「女性」が、日本政治において優位性を持っていないのか?

なぜそのような実態を備えた政治が「民主主義体制」とみなされているのか?

 

本書は、ジェンダーの視点から「日本政治」や「政治学」という学問を再検討しています。

まず、この問題意識が鮮烈で素晴らしいうえ記述とデータのバランスもよく、読みやすさも兼ね備えています。

この本は、非常におすすめです。皆さんもぜひ、秋の夜長にご一読なさってみてください!

 

 

-----余談-----

 

ここ数ヶ月は月一のペースで記事を更新できているのですが、本紹介しかしてないんですよね...このままだと僕が読んだ本を紹介するためだけの私物ブログになってしまいます。もう少し記事のレパートリーを増やしていきたいところです。

 

あとはアクセス数も増やしたいなあと思いますが、HOPS公式のTwitterアカウントにリツイートしてもらうなどの施策が必要かもしれません。

 

当ブログを拝読してくださっている方々も、もし記事に関する要望などございましたらコメントなどお寄せください!お待ちしております!

【本紹介】『Rによる計量政治学』

こんにちは、18期K・Nです!

 

本日の本紹介は

浅野正彦、矢内勇生(2018)『Rによる計量政治学』、オーム社

です!

近年の社会科学では、統計的計量分析を用いる研究が飛躍的に増えているそうです。

日本でも、統計データ等を活用したEBPMエビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)の推進が、叫ばれるようになってきています。

統計的計量手法を使えるようになりたい方や、使うまでは行かずとも読めるようにはなりたい方、ITに関心のある方にはズバリ本書をお勧めします!

 

フリーソフトで統計解析用に開発されたR言語を使用し、選挙をはじめとする政治現象のデータ分析を15回に分けて演習ができ、使いやすい基本書となっています。最初の3章でリサーチデザインの組み方に関してレクチャーしつつ、統計的仮説検定や重回帰分析、交差項やダミー変数の使い方、ロジスティック回帰分析まで一通り抑えることができる、とても親切な作りです。

そして練習問題が充実しており、回答解説はサポートページにコーディング付きで載っているという安心の構成も素晴らしいです。

僕は数学が不得手な人間なので、読み進めるのには苦労していますが、その分得るものも大きい気がしています。もし、関心のある方はご一読ください!

 

それではみなさん、季節の変わり目ですが、体調には気をつけてお過ごしください。

 

文責:18期K・N

公共経営特論Ⅲフィールドワーク

 

はじめまして! HOPS国際政策コース2年の西岡有里沙です。

 

北海道もいよいよ、2022年夏本番ですね☀

クーラーのきいたHOPS棟から出たくない日々が続いています…

 

とはいえ、フィールドに出てみないと学べないことも多くあります!!

 

先日、公共経営特論Ⅲのフィールドワークで、エネルギー政策の見聞を広げるべく、北海道電力(株)の石狩湾新港発電所と、コスモエコパワー(株)の石狩湾新港風力発電所を訪問してきました。

 

まず訪れたのは、北海道電力(株)初となるLNG火力発電所(※)です。

※石油や石炭に比べ、CO2排出量が少ないLNG液化天然ガス)を燃料として稼働する発電所です。

 

 

ガスタービン」と「蒸気タービン」のダブルで発電機を回転させ、効率良く発電することができるそうです!!!

 

 

 

この巨大なタンクには、23万kℓ(約2か月分の稼働燃料)のLNGが貯蔵されています。

魔法瓶のような構造で保冷することにより、適切にLNGが保管されています。

 

 

 

続いて向かったのは、発電所からバスで10分ほどのところに位置する、コスモエコパワー(株)石狩新港風力発電所です

 

  

 

こんなに間近で風車をみることができました!

 

 

特別に風車の中にも入らせていただき、担当の方から構造や設備についてレクチャーを受けました。

意外にも柱の中は空洞になっていました~

 

 

 

今回、施設見学に行って、講義だけではなかなかイメージしづらかった技術的な側面の理解を深めることができました!

また、事業者の方々にカーボンニュートラル実現への想いや今後の展望などをお聞きすることができ、「未来のエネルギー政策について」改めて考えるきっかけとなりました。

 

このようにHOPSには、「現場」を知る機会がたくさんあります!!

今後も、フィールドワークの様子について更新していきたいと思っています☆

ぜひチェックしてみてくださいね(^^)

 

 

 

 

 

【本紹介】『権威主義 独裁政治の歴史と変貌』

こんにちは!18期のK・Nです!

弊学は芝生でご飯が食べられる緑豊かな季節を迎えております。

 

本日の本紹介はこちら。

 

エリカ・フランツ(2020)『権威主義 独裁政治の歴史と変貌』、白水社(上谷直克、今井宏平、中井遼訳)

です。Frantz, Erica(2018), Authoritarianism : What Everyone Needs to Know, Oxford University Press の邦訳です。

「皆が知るべきこと」シリーズという題で色々なテーマの概説書を出版しているオックスフォード、流石。内容的には、一般書と専門書の中間くらいかなあと感じました。

 

 

権威主義(体制)ってあまり聞き慣れないかもしれませんが、すごく簡単に申し上げると独裁のことです。v-demのデータを見ると、北朝鮮、ロシア、中国、サウジアラビアキューバベネズエラベラルーシなどが該当しそうです。本書によると、近年の権威主義体制は、選挙などの民主的な制度を「表面上は」備えるようになっているそうです。

COVID-19の初期対応時に中国が抑え込みに成功した(っぽく見えた)ことで「危機対応は権威主義体制>民主主義体制!」という主張が実しやかになされていましたが、2年半ほど経った現在を見てみるとそんなことはなさそうなので、政治体制によって危機対応能力を説明することはできない気がしなくもありません。誰か研究してみては如何でしょうか(笑)。

 

では、権威主義とか民主主義ってなんぞや!という方のために、本書から定義の引用。

 

いいかえると、本書が使用する権威主義体制の操作的な定義において、権威主義体制と民主主義体制を分ける際立った要因は、政府が自由で公正な選挙で選ばれるか否かである。p.19

 

選挙の自由さと公正さを基準点に考えていますね!

他方で現在の日本は、権威主義体制ではなく民主主義体制と言われています。

ですが、現時点で民主主義体制であることは、今後もずっと民主主義体制であることを意味しません。筆者は本書を読んで、自由で公正な選挙が行われている現実にありがたみを感じました。というわけで皆さん選挙に行きましょう(啓発)。

 

-----

 

追伸1

 

HOPSの説明会が開催されています!

 

↓リンク

大学院説明会・相談会 – 北海道大学公共政策大学院

 

特定の公共政策分野に関心のある方、広く社会科学に関心を持つ方、文理融合に関心を持つ方、北海道という地方自治体から政策を見渡してみたい方、学修と実務を繋げたい方などなど、非常に門戸の広い(専門職)大学院でございます。修学相談会では現役学生に質問したりするコーナーも用意しておりますので、少しでも関心をお持ちの方が是非とも参加してみてください!

 

追伸2

 

HOPSはオンライン体験入学を実施します!

 

↓リンク

https://www.hops.hokudai.ac.jp/admission/大学院体験入学2022/

 

こうして見ると、テーマが幅広いですね。

関心のある分野(あえて関心の無い分野)の授業に潜り込んでみるといいかもしれません。

 

それでは、本日はこの辺りで。

 

文責 18期K・N